Web担当者のための一歩先行くWeb講座 第14回

依頼をうまく進める3つのポイント

デザイナーは、あなたと企業のことをよく知らない

デザイナーに発注したけれど、うまくイメージが伝わらない。意図通りにデザインしてもらえない。そんな悩みを持つWebマスターは少なくありません。一番大事なのは、初めに自社の要望をきちんと伝えること。なぜ変えたいのか?どんな成果を期待しているのか?デザイナーが知りたいのはWebサイトの目的です。

知名度のある企業だと、自社のビジネスについてあまり説明してくれないことが多い。当り前のことを言うまでもないと思うのだろうが、デザイナーにはちっとも当り前ではありません。メジャーな商品なら目にしたことくらいはあるかもしれません。しかし、それは個人の断片的な経験でしかないのです。

デザイナーは、短い打合せの中で、できるかぎり企業自体や仕事のイメージをつかもうとします。だから、仕事に関連する資料はもとより、会社案内や、関連する資料をなるべく集めておくべきです。採用向けの会社案内や社内報なども企業イメージをわかりやすく伝えるツールとなります。

中でも重要なポイントは「誰にどうサイトを見て欲しいのか、メインユーザーは誰なのか」を明確にすることです。老若男女全てに自社製品を買って欲しいとしても、サイトのメインユーザー像はある程度絞りこめるはずです。対となるユーザーが絞り込めれば、デザインにも説得力や迫力が出てきます。

自社のユーザー像は、あなたにとっては常識でしょう。しかし、デザイナーはあなたのお客さまのことを、まったく知りません。自分の会社の常識でもデザイナーには非常識と思って、きちんと説明すれば、お互いの時間を無駄にしないですむのです。

期限と費用を、はっきり提示する

いくら出せるのか、いつまでにやって欲しいのかは、先に伝えたほうがいいです。金額と期間によって「何ページつくれるのか」という規模がハッキリするからです。この数字は、後から変更になるケースも多いですが、仮決めしておけば、話が堂々めぐりすることなく打合せを進められます。

逆に、これから決めるからと、はっきり提示しなかったり、できるだけ安く抑えようと金額を低めに設定する例も見られます。しかし、金額や期間があやふやだと、非現実的なプランがでたり、逆に小さな規模の提案しかでてこないこともあります。もし、出てきた提案に納得いかなければ、同じ条件で別のデザイナーに見積もりを依頼して、比べてみるのも良いでしょう。

コミュニケーション不足が起こるのは、「このくらい相手も分かっているだろう」と確認の手間を省いてしまうからです。「言った」「言わない」ほんの小さないきちがいが、大きなトラブルに発展する原因となるのです。

オリエン前に「 RFP 」を準備しておく

デザイナーの依頼は、オリエンテーション(オリエン)と呼ばれる打ち合わせから始まります。限られた費用で満足できるデザインにするためには、この最初のオリエンが重要になります。初めに自分のイメージや予算をキチンと伝えられれば、デザイナーはぐっと働きやすくなるし、結果として短時間で満足できるデザインができるでしょう。

オリエンを上手く進めるコツは、今までお話した、デザイナーに伝えるべき3つのことを「紙」にまとめて持参することです。整理すると、第1にあなたの企業のとサイトで実現したいことを説明する資料。2番目に費用。3番目に期限です。

ゴールを見失わないためには、書類にまとめておくことが最も効果的です。プロジェクト開始時に準備すべき書類を、RFP (Request for Proposal)と呼びます。難しそうと感じるかもしれませんが、凝った資料は必要ありません。A4の紙一枚に「サイトの目的」「費用」「期限」この3つを、お互いが理解できる言葉で整理してあれば十分です。面倒がらずにRFPを準備することで、後から生じるズレを防ぐことが出来るのです。

肝心なのは、担当者とデザイナーがゴールを共有することです。目的地がバラバラで、いいデザインなんて出来るわけがないのです。些末な見た目にこだわったり、弱気なお任せ発注ではいつまでたっても満足できるページをデザインしてはもらえません。主導権を握るのは、担当者のあなたです。発注側がオリエンで積極的であれば、お互いの第一印象も良くなるし、その後のコミュニケーションもスムーズで、きっと満足のいくデザインが上がってくるでしょう。