CMSの選び方 第2回

CMS選定の外せないポイント

CMSを選ぶポイント

第一回では、そもそもCMSと呼べるものは何か、ということをお伝えしてきました。

今回は、何を基準にCMSツールを選定すべきかをお伝えしていきます。

細かい選定ポイントはありますが、CMSを選ぶ上で最も大切なポイントは以下の通りです。

“最終的なスケーラビリティ(規模感)で選ぶ”

「あれ、コストは関係ないの?」と思うかもしれませんが、コストよりも上記が大切です。
コスト面で勘違いしてはいけないのが、無料のCMSツールとは、「ライセンス費」が無料なだけです。無料のCMSツールを導入しても、リテラシーの低い更新担当者でも更新ができるようにするためには、当然CMSの「カスタマイズ」が必要になります。そこには、「開発費」がかかります。
有料のCMSツールの多くは、予め出来る機能が多い反面、ライセンス費用がかかります(高い)。無料のCMSツールは、出来る機能が少ない反面、初期費用がかかりません(低い)。しかし、無料のCMSツールは、カスタマイズ次第で要件を満たすCMSツールにもなりえます。要するに、細かい機能的な要件は、カスタマイズ次第でカバーできることが多いのです。
しかし、スケーラビリティについては、後から簡単に変更できるものではありません。
逆の言い方をすると、スケーラビリティに合ったCMSを選んでおけば、取り返しのつかないような失敗はしないということです。

分かりやすく、「建物を購入する場合」に置き換えてみましょう。
住宅を購入する場合、まず「マンション」か「戸建」か決めます。マンションを購入した後に、「やっぱり2階建てが欲しい」と言っても後の祭りです。買い換えることは難しいでしょう。
スケーラビリティを選ぶとは、こういうことです。
そして、購入する物件のスケールが決まれば、スケールの範囲内で、内装などのカスタムは、費用に応じて自由に行うことができます。
これが、CMSのカスタマイズ機能にあたります。
後にリフォームして、住宅を改修するように、CMS機能も公開後に追加、改修することが出来ます。

スケーラビリティとは

では、スケーラビリティとは何でしょうか。
ここで言うスケーラビリティとは、大きく以下の3点です。

1.最終的にCMSで管理するドメイン数・ページ数
2.最終的な対応デバイス
3.最終的な運用者の数

大事なのは、「最終的な」というところです。今に合わせるのではなく、運用面を含めた最終的な「あるべきWebサイト」を基準にして選ぶという事です。
これらが明確になっていれば、導入すべきCMSは、ある程度明確になります。
上記3点を、それぞれ詳しく見ていきましょう。

1.最終的にCMSで管理するドメイン数・ページ数

ページ数だけに注目しがちですが、「ドメイン数」も大切なポイントになります。
なぜなら、ドメイン数に応じて、ライセンス費が必要になるCMSツールも多数あるためです。例えば、1ライセンスが100万円のCMSでも、10個のドメインを管理する場合は、1,000万円のライセンス費用が必要になります(ドメイン毎にライセンス費用がかからないCMSツールも当然あります)。
ドメインは比較的容易に取得できるため、集客用のサイトを複数ドメインで用意している場合などは、CMS選定と合わせ、ドメインを改めて見直すことも大切です。

2.最終的な対応デバイス

PC、スマホ、フィーチャーフォン、タブレットなど複数あるデバイスについて、どこまでCMSで管理するかを決めましょう。
タブレットサイズなどは、今後さらに多様化することが想定され、レスポンシブをはじめ、デバイス対応は様々な不確定要素がありますが、デバイス毎に最適なテンプレートをCMS上で開発する場合は、当然、設計や開発に工数が追加されていきます。作ったら逆に運用が大変になることもあるので、運用面での負荷や更新性も考慮し、どのタイミングで、どこまで対応するかを決めておくことが大切です。

3.最終的な運用者の数

表面的なページ数やドメイン数だけでなく、実際に更新作業を担当する運用者の人数も、CMSツール選定の重要なポイントになります。
極端な例ですが、全国に展開している1,000店舗のスタッフがそれぞれ更新を担当するのか、本部のWeb担当者2-3人のみで更新するのかという違いです。
多くのCMSツールには、更新作業者の同時アクセス可能数(更新作業を同時にさばける数)というものがあります。これを考慮していないと、「管理画面にアクセスできない」「管理画面が遅い」など運用上、多大な問題が生じてしまいます。

その他選定のポイント

上記3点以外に、私の経験上、Web担当者が発注する上でのポイントを参考として、2点紹介します。

1. デモに騙されない

CMSのデモは、とても簡単に、何でも出来るように見えます。嘘ではありませんが、実際の運用方法が、デモの通りになるケースは少ないです。デモや説明資料だけでは判断せず、CMS構築のノウハウを豊富に持っている企業に選定のアドバイスを求めることが効果的です。

2. 開発実績があるかを制作会社に確認する
最初「できます」と言っていて、いざ始まったら「できません」というようなケースも多々あります。他のCMSツールを扱っていれば、カスタマイズは容易に思えても、実際はCMSツールそれぞれで独自のカスタマイズのノウハウが必要になるケースがほとんどです。実際に導入を考えているCMSツールの開発実績があるかをしっかりと確認しておくことが大切です。

次回は、目的別おすすめCMSツールについて紹介します。