Web担当者のための一歩先行くWeb講座 第3回

できるだけ他の人の力を借りよう

業務を分けて分担しよう

前回説明した通りに、コンテンツを棚卸しして、捨てる努力をした。それでも残り全てを対応したら、キャパオーバーになる場合、どうすれば良いのでしょうか?

そんなとき、自分が2人いればいいのにと思う人もいるでしょう。そう、自分の「コピー」を作ればいいのです。ここでお伝えする、自分の「コピー」とは、漫画に出てくるような「忠実なロボット」を作ろうといった荒唐無稽な話ではありません。自分の代わりになって業務をやってもらえる人を作るということです。

そうは言っても、会社という組織は、それぞれに与えられた仕事があり、正面から頼んでも断られるのがオチです。気づかれないように面倒な仕事をしてもらわなければなりません。「他の人は、Webサイトのことなんて全く知らないし、そんなことを言っても到底無理」という声が聞こえてきますが、何もHTMLを書いてもらおうということではないので、専門知識は必要ありません。

よく考えてみてください。Webサイトに掲載しているコンテンツの元となる情報やデータは、Web担当者が作ったものではなく社内の各部署から集められたものに違いありません。Web担当者は、集めた情報をWebサイト向けに加工して掲載する仕事です。だから、情報を受け取る手前で、情報提供元の担当者にサイトに掲載しやすい形に情報を整理してもらうのです。「ひと手間」かけてもらうことで、あなたの作業はずっと楽になるはずなのです。

コンテンツの制作は、実作業よりも、情報を揃えるためのやりとりやチェック時の追加、変更など、作業の「手戻り」に手間がかかります。最初から完全な情報・素材がそろっていて、制作が始められる。チェック依頼しても、何ごともなく、そのまま公開できる。このような状況を作りだせれば、業務はとても効率的です。前回説明した、コンテンツのリストを用い、それぞれのコンテンツに対して、どの部署の誰が情報を持っているのか、誰にチェックを回して承認を得る必要があるのか、誰に公開の承認してもらうのか、Webサイトに掲載するコンテンツの作業開始から公開までどんな手順で、どんな人が関わるのかを書き出してみましょう。

他の人の力を借りるには「原稿フォーマット」が必要

全てを描き出してみると、最初から最後まで、一人でやるコンテンツは皆無だと気づくでしょう。むしろ、関わる人の多さを改めて認識することになるかもしれません。Webサイトに対する知識レベルは様々です。そのような人から、過不足なく整理された情報を受け取るためには、必要な項目が網羅された「原稿フォーマット」を準備すると良いでしょう。

「原稿フォーマット」には、「ページ作成に必要な情報」はもちろんですが、「公開までの手続きに必要な情報」を記入できるようにすることがポイントです。必要な項目を一覧にすることで、漏れなく情報が揃っているか、作業はどう進めたら良いか、素早く確認できるようになります。さらに、不明点もはっきりするので、お互いの認識合わせもスムーズになります。

「ページ作成に必要な情報」は、タイトル、カテゴリー、本文、画像ファイル、関連リンク、PDFなど添付データの有無などです。コンテンツによって、多少項目をアレンジする必要があるかもしれません。修正依頼の場合は、テキストでもらうよりは画面をキャプチャーしてもらって、そこに指示をいれてもらう方が間違いが少ないでしょう。

「公開までの手続きに必要な情報」は、担当部署、担当者、制作会社、公開日、チェック希望日、チェック担当者、担当者連絡先などです。実は、このような情報が大事なのです。公開日は曖昧になりがちなので、日付や時間を指定してもらったほうが良いでしょう。例えば、公開時間が10時であれば、当日の朝にチェックをしても間に合いますが、日付が変わった瞬間の0時であれば、前日に作業を完了していなければなりません。大抵の依頼は「すぐやって欲しい」と言いますが、ほかの仕事を止めてでもやるべきなのでしょうか?もし、明日でも良いなら、手元の仕事を片付けてから手をつければ良いのです。

担当者には、公開前に他の誰に内容を承認してもらうのか明確に記入してもらうと良いでしょう。確認・承認をすべき担当者が複数いるなら、漏れなく記入してもらいましょう。全員に確実にチェックを回すことで、公開後に「見てなかった」などと怒られて、慌てて追加・修正するような事態を避けられます。

外部に依頼したコンテンツを受け取り、テストサーバーにアップしてみたら、うまく動作しなかった。そのような場合に、外部制作会社の連絡先がすぐにわかれば、直接状況を説明することができます。外部制作をたくさん使っているならば、外部制作会社向けに専用のフォーマットを準備しても良いでしょう。

最初は、相手が面倒くさがってやってくれないかもしれません。それでも、一人の担当者からでも良いので、やってみましょう。そうすれば、お互い公開までのやりとりが減って、間違いの少ないコンテンツができることを実感できるはずです。これを浸透させることができれば、あなたの仕事が社内で認められるきっかけになることでしょう。