Web担当者のための一歩先行くWeb講座 第13回

成果を測るアクセス解析のコツ

アクセス数にごまかされるな

Webサイトを開設した後は、どのくらいの人が見てくれているのかが気になります。その数は、Webサイトのアクセス解析によって明らかになります。PV(ページビュー)、UU(ユニークユーザー)といった言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか?

わかりやすいので、全体のアクセス数ばかりを気にする企業が多いですが、その数が増えたから、Webサイトの情報が良く見られているのかと言えば、必ずしもそうとは限りません。「直帰」といって1ページだけで、離脱するユーザーも少なくないのです。

直帰率が50%の場合、アクセスした半分のユーザーが1ページしか見ていないことになります。1ページでも見てくれたらいい、というのはお人好しです。ページの表示が終わる前に「違う」と感じて、ブラウザの「戻る」ボタンをクリックしている可能性が高いのです。

ユーザ一の1訪問あたりのアクセス数を調べてみてください。平均が3ページ以下の場合、サイトのコンテンツは、あまり見られていない可能性が高いです。せっかくアクセスしてくれたユーザーが、すぐに見るのを止めてしまってるのです。なぜなのでしょうか?分かりにくいトップページにウンザリして?お目当てのコンテンツが見つからずにイライラして?ユーザーの立場で想像してみてください。

アクセス解析は「ダイエット」のように

アクセス解析の本来の目的は、Webサイトが目指している理想像と、現状のギャップを把握することによって、問題点を抽出し改善することです。

「Webサイトのアクセス数を増やしたい」というのは、「とにかく痩せたい」というのと同じです。むやみに体重を減らすことが、健康的に美しくなることではありません。同じようにアクセス数を単に増やすことが、かえってサイトに悪影響を及ぼすこともあります。

例えば、豪華プレゼントで一時的にアクセス数を増やしても、キャンペーンが終わればもとの木阿弥。ユーザーも、プレゼントが目的でアクセスしただけだからもう二度とサイトに来ることはありません。その場限りのキャンペーンは、見込み顧客も集まらないのに、予算を食い散らすだけ。いわば間違ったダイエット&リバウンドの繰り返しで、余計に太ってしまうようなものです。

健康的に美しく痩せるためには、巷にあふれる多種多様なダイエットから、自分にあった方法を選ぶことが重要です。選ぶポイントは次の3つ。
まず、自分の目指すプロポーションをはっきりさせます。次に、継続できるような無理のない目標数値と期間を決めます。最後に、ダイエット方法を選んで、自分の体質やライフスタイルに適しているか考えます。アクセス解析も同じです。

アクセス解析の3ステップ

まず、第1にサイトのゴールを決めます。「アクセス数を増やしたい」その結果何を得られればいいのだろうか?「自社製品に興味を持つユーザーのリストを集めたい」とするなら、サイトで製品の「資料請求」をしてもらって、情報を入力してもらう。ユーザーの情報が集まることが成果になります。多くの企業サイトは複数の目的を持っていると思いますが、あえてシンプルに絞り込んだ方が、具体的な成果に結び付けやすくなります。

第2に、サイトの現状の数値から、目標数値と期間をハッキリさせます。例えば、現在100件/月ある資料請求を、今後3ヶ月間で、3割増やすというように決めるのです。この数値は必ず設定すべきです。

第3に、仮説を立てて具体的な実施プランを作ります。そのために、現在サイトがどのように使われているか、アクセスを細かく調べます。しかし、やることがはっきりしているなら、膨大なログデータの中の見るべきポイントは限られます。ゴール地点から見ていくのがコツです。

例えば、Webサイトのアクセス全体から、資料請求のページに何人アクセスしているかを調べます。もし5000人のアクセスがあるとしたら、ほとんどの人は資料請求しないでWebサイトを離れていることになります。たった1%でも資料請求する人が増えれば、余裕で目標を達成できます。

もし、お問い合わせフォームのページへのアクセスが500人いるなら、400人が諦めていることになります。それなら資料請求フォームの項目を減らして入力しやすくすしたらどうなるでしょうか。同様にアクセスが100人程度なら、そもそもお問い合わせフォームへのリンクが見つけにくいのかもしれません。製品ページに設置してある資料請求フォームへのリンクを、目立つように大きくする。リンクを増やして、ページの上下に貼るのも効果的かもしれません。

このように、アクセスデータをチェックしながら、いくつかの仮説をたてます。その際にはユーザーの視点で問題点を挙げ、改善方法を考えることが不可欠です。この仮説に基づいて、実際にページを修正し、結果を調べるのです。

調べるときは、一回に一点だけの修正にとどめます。毎日のことなので1~2週間で変化は起こります。起こらなければ、次の仮説を実施します。仮説をすべて試してもうまくいかなければ、またデータに立ち戻って、ほかの施策を考えてみるのです。効果がすぐに出ないからといって、あきらめてはいけません。仮説検証を繰り返していく過程で、問題になっているポイントが絞こまれていきます。この失敗の記録が次の成果につながるのです。