第1回

CMSって何?

はじめに

「CMS」という言葉が世に出てきてから10年近くになります。実店舗と同じレベルで、Webサイトをビジネスにおいて有効活用する状況が広まったことと呼応するように、様々なCMSツールが出てきました。いまでは、無料のCMSツールから、ライセンス費用だけで数千万円する有料のCMSツールまで、数十を超えるCMSツールが存在しています。

それは、CMSを導入しようと考えている企業(Web担当者)にとって、とても難しい状況になっているといえます。無料や安価のCMS ツールを見ても、それなりに満足のいくものに感じるようになっている(そのような説明やデモを受けている)ため、導入した後に、「やっぱりダメだった」とならないようなCMSを選定することが、成果の出るWebサイトを構築するうえでの重要なポイントになります。

このコラムでは、後になって「失敗した」と思わないよう、CMS選定のポイントを説明していきます。

「こんなはずではなかった」とならないために

様々な制作会社やCMS会社から営業を受け、「こんなに簡単に更新ができます」とデモを見せてもらい、まるで魔法のようなツールに感じることもあるでしょう。しかし、いざCMSを導入してみると、こんな問題が発生することもしばしば。

  • ●大幅な作業効率化を見込んで導入したのに、結果的には外注費が増えた。
  • ●社内の作業手順とシステムとが合わないので、2度手間が発生する。
  • ●ワークフロー上での承認が必須になって、更新のスピードが落ちた。
  • ●柔軟にサイトを変更できなくなった。魅力的な見せ方ができない。
  • ●機能追加や、カスタマイズに予想外の費用がかかった。
  • ●CMSの導入によってサイトが頻繁に更新されるはずだったのに、できていない。

これらの課題・問題は、導入したCMSツール自体に起因する問題ではありません。やりたいこと・やるべきことを踏まえて最適なCMSツールを選定しなかったCMS導入の「やり方」に問題があるために起こっているのです。

実際、弊社への問い合わせの中には「CMSを導入したけど、上手くいかなかったからやり直したい」というものも多くあります。

それなりに高価な有料のCMSツールを入れる場合、企業としては当然成果を上げなければいけませんし、設備投資の場合は減価償却を行わなくてはいけません。つまり、一度導入すると少なくとも2~3年使い続けなければいけないということです。
当然、2~3年の間に、Webサイトで対応しなければならない問題は新しく発生するでしょうし、拡充の必要性も出てくるでしょう。
そうなると、企業が導入するCMSは吟味して選定しなければいけません。

CMSツールと呼べるもの

「CMS」と呼ばれるツールのうち、本当に「CMS」と呼べるものは、実際には半数にも満たないかもしれません。それ以外は、正直単なる「更新ツール」と本来呼ぶべきものです。

でも、実際更新を担当しているWeb担当者にとっては、更新作業は大変なもの。そこにつけこみ、今は何でも「CMS」と称してサービスを開発・提供しているし、Web担当者に対しても「更新が楽になる」という訴求をしている。 本当に最適なCMSツールかどうかを判断しづらい現在の状況は、CMSを導入しようと考えている担当者にとっては大変な状況であると言えます。

では、CMSと呼べるツールは、何が違うのでしょうか。
“CMS”と“更新ツール”を分ける大きなポイントは、以下の3点です。

1.更新対象が1対1なのか、1対多なのか
2.複雑なワークフローにも対応できるか
3.更新担当者のリテラシーが低くても対応できるか

これだけ見ると、今まで知っている・営業を受けたCMSツールのどれもがCMSツールとして成り立っているのではないかと思うでしょうが、そうでもありません。
一つ一つを詳細に説明していきます。

更新対象が1対1なのか、1対多なのか

ここで言う「1対多」とは、Aカテゴリの中の詳細ページA-1を更新した場合、Aカテゴリのリストはもちろん、BカテゴリやCカテゴリ、TOPページなども合わせて自動的に更新されるようなことです。
具体的には、例えばホテルサイトの場合、宿泊プランを作成(更新)した場合、宿泊プラン一覧のリストが自動的に変更されるだけでなく、レストランページにも、更新した宿泊プランがレコメンドとして表示され、TOPページにも「最新の宿泊プラン」として掲載される。このようなことを言います。

このような「1対多」の必要性がある場合、CMSは最大限の効果を発揮します。

逆に、Aカテゴリの詳細ページA-1を更新したら、Aカテゴリのリストページだけに表示されるような「1対1」の場合は、極論するとCMSツールは必要ないとも言えます。

複雑なワークフローにも対応できるか

そもそも運用上ワークフローが必要か、どれだけ複雑なワークフローが必要かを見極めることが大前提になりますが、簡単に言うと、ブログ発展系のCMSや、無料のCMSツールなどは、ワークフローの機能が弱いものが多いです。逆に、有料のCMSツールなどは、予め企業Webサイトを想定して作成されているため、複雑なワークフローにも対応できるものが多いです。

無料だからと言って使えないという訳ではなく、いざ、ワークフローが必要になった場合に対応出来ないものを選定すべきではないということです。

ワークフローを複雑にしすぎてしまうと、更新のスピード性が落ちるなどの問題点はありますが、それは運用ベースで解決すべき問題です。
それ以上に、一定のサービス品質でユーザー(お客様)に正しい情報を伝えることが企業としては大切です。そのためにも、少なくとも2段階のワークフロー(更新⇒承認・公開)を備えているものを導入する必要があります。

更新担当者のリテラシーが低くても対応できるか

これは簡単に言うとCMSのカスタマイズ性の問題です。
極端な話、更新する人にHTMLの知識がある場合、HTMLをそのまま更新するようなCMSの入力画面でも問題ないでしょう。
ただし、CMSを導入する多くの場合、「リニューアル後は、営業など担当部署が直接更新できるようにしたい」といったケースが多いと思います。
そのような場合、多くの人はHTMLなどの知識が乏しいです。リテラシーの低い人でも簡単に入力できるようにする場合、専用の入力用パーツをカスタマイズして開発していくようなことが必要になります。

この拡張性が無いと、本当に更新してほしい部署が更新できず、結局今まで担当していた部署が更新し続けることになり、ユーザーへの情報発信が遅れ、運用負荷も軽減されないような状況に陥ってしまいます。

次回は、CMSを選定するうえでの重要なポイントについてお伝えしていきます。