スマートフォンサイト構築のために
はじめに
スマートフォンの急激な普及に伴い、スマートフォンサイトの再構築が、企業にとって急務になりつつある。
Webサイトが立ち上がり始めた90年代後半の、何の根拠もないサイトを作るためのサイト構築が行われていた時代を思い出さざるを得ない状況が、やってきている。
フェイスブックやピンタレストとの連動やレスポンシブWebデザインやリキッドレイアウト等々。Web担当者は、何をどのように考えて、スマートフォンサイトを構築すればいいのか途方に暮れているのではないだろうか?
このコラムでは、迷える企業Web担当者にとって、自社のスマートフォンサイトのあるべき姿を構築するための方法論を説明していきたい。
もちろん、「そもそもPCのWebサイトにも四苦八苦して運用しているのにスマフォサイトなんて考えられない」とお考えの企業 Web担当者も大勢存在していることを理解したうえで、スマートフォンサイトだけでなくPCサイトも視野に入れた方法論であることを事前にお伝えする。
どうしてそんな問題が出るのか?
根本的な問題は、スマートフォンサイトをPCサイトとデバイスが違うだけで、同じコンテンツで用が足りると考えているところにある。
だから、PC版をそのまま利用する施策が、あたかも最高の施策であり、費用対効果の高い方法であるかのごとく、制作会社さえ風潮しているのだ。
CMSツールの導入を検討している企業ですら、導入するCMSツールにスマートフォンやフィーチャーフォンへコンテンツのコンバート機能があるかを確認している。
ここから脱却しない限り、有効に機能するスマートフォンサイトはあり得ないし、PCサイトとの連動連携もあり得ないのである。
繰り返すが、CMSツールが解決してくれる問題ではないということは、明白なのだ。
まず、スマートフォンサイトをどうしよう?ではなく、PCだけでなく、様々なデバイスでユーザが自社のサイトを閲覧してもらえる現状を幸せだと感じることから始めよう。
そう思うと前に比べて、よい時代になった、いや本当にすばらしい時代になった。
もしかしたら、インターネットにとっても、新しい時代が訪れるのかもしれない。
企業にとっても、私たち制作者にとっても、これは本来喜ばしいことなのである。
この発想から、これを生かすためにどうしなければならないかを考えてみよう。
視点を変える チャンスだと思って考えよう
こんな時代を嘆くのではなく、チャンスだと考えれば、やるべきことは明白だ。
PCでの閲覧が主たる閲覧方法だったWebサイトが、多くのデバイスで閲覧できるようになれば、「どこでも」「どんな時でも」というキーワードが浮上してくるはずである。
さらにPCのリテラシーも必要ないとすれば、「誰でも」、PCよりも多くのユーザの利用があるとすれば、「誰にでも」というキーワードが重要になる。
「どこでも」「どんな時でも」「誰にでも」「簡単に」
これこそが、スマートフォンサイト構築のためのキーワードだ。
私は、Webサイトを「問題解決ツール」と位置付けている。
Webサイトが様々なデバイスを持つ時代になれば、
「いつでも、どこでも、誰にでも、簡単に、問題解決できるツール」になるはずだ。
これをなし得るためには、それぞれのデバイスを利用するユーザのシチュエーションを理解することが必要である。
そして、それぞれに最適化されたコンテンツ<情報>を最適化されたフォーマット<デザイン>で提供する必要がある。
これが「どこでも」の対応。
さらに、どんなステージ(購入前~購入後まで)でも同じデバイスが最適とは限らない。
自社のユーザが必要なツールを明確に選択する必要がある。それは、ユーザが置かれているステージを理解し、利用シーンを想定することである。
これが「どんな時でも」の対応。
SEOもLPOも内包したWebサイトの構築で、アクセスするすべてのユーザに最適な情報を、さらにデバイスに最適化された形で提供する。
これが「誰にでも」の対応。
さらに、ユーザに必要なものを選択して、提供する。つまり、少ないクリック、シンプルな導線、そんな自然な連動が必要不可欠である。
これが「簡単に」の対応。
このようにスマートフォンサイトだけでなく、PCサイトも含めて、上記に対応できるような再構築が必要な時代になってきているという認識が必要ということなのだ。