ソーシャルメディアで顧客と向き合う心構え3カ条
集客における検索エンジンとSNSの違い
インターネットで情報を探す上で、検索エンジンは最も強力なツールです。ユーザーが解決すべき課題に関するキーワードを入力することによって情報を得る、いわば欲しい情報を「狩りに行く」メディアです。
それに対して、ソーシャルメディアは、自分の知り合いや有名人、気に入ったお店などを登録し、そこから発信される情報を時系列で眺め、ユーザーが琴線に触れる情報を得る、情報を待ち受ける「罠を仕掛ける」メディアなのです。
ソーシャルメディアは、友人をはじめとした自分と興味の似通った人がつながることで情報を共有(シェア)する仕組みです。自分の興味のあること、体験したことを投稿すると、それを見たユーザーが興味を持つことがあります。逆にほかの人の投稿によって、自分でも認識していなかった潜在的なニーズに気付くことになります。信頼できる仲間が紹介しているのですから、考えるより早く行動に移すことになります。このような「気付き」を得られるのがソーシャルメディアの魅力なのです。
友人からの情報は受け入れ易いことは言うまでもありません。検索エンジンは顕在化したニーズに対して複数の回答を受け取りよく吟味してから行動をとります。それに対して、ソーシャルメディアは「気付き」によって潜在的なニーズの顕在化をすると同時に、信頼ある人からのよりよいアドバイスとして即行動につながるのです。
しかしながら、ソーシャルメディアは、情報を届けるためにまず「つながり」を持つ必要があります。ですから、それまで接点のない不特定多数のユーザーにいきなり情報を届けることはできません。最初につながりが持てる可能性があるのは、あくまでも「知り合い」です。企業で言えば、商品やサービスを利用している既存個客ということになります。
ソーシャルメディアで顧客と向き合う心構え3カ条
顧客とつながるためには、顧客に「歩み寄ること」が必要になります。企業が個人のつながりに参加する、その中で頼れる「仲間」として認知してもらうことが第一歩となります。しかし、個人対個人のつながりよりも企業対個人のつながりは心理的ハードルが高いのです。
個人とつながるためには以下の3つの点を十分に考慮しなければなりません。
1.情報を「与える」のではなく、顧客から「聞く」
顧客が話していることに耳を傾けることによって、顧客の理解を深めることができます。つながっている人たちの中では何が話題なのか?どんなことに盛り上がっているのか?を知ることです。顧客は顧客なりの考えや価値観を持っています。いきなり意見を言うのではなく謙虚な姿勢でたずねてみれば、企業側に有益な情報を得ることができます。
2.「従わせる」のではなく、仲間として「参加」する
ソーシャルメディアは顧客の持つ影響力を借りることによって情報が伝わっていきます。参加者同士が気軽なやりとりをする中で、それに即しない情報、空気を読まない発言は排除されます。たとえば、文脈に関係ない内容、他人行儀な文面、一方的な売り込みなどです。ソーシャルメディアの持つ「世界観」や参加者のつながりに配慮して、一緒に楽しめることを目指すべきです。
3.「売り込む」のではなく、「対話」する
ソーシャルメディアは「個人が主役」の世界です。企業も顧客も一参加者として対等な関係なのです。やりとりの中で意見が異なることがあっても、友人であればいきなり上から目線で間違いを指摘したりはしません。顧客が理解できるように対話すること、わかりやすくアドバイスすること、疑問に対して納得できる答えを準備すること、顧客から共感を引き出せるような「対話」を心がけるべきです。
企業がソーシャルメディアに参加する意義
顧客とそのつながりを理解せずに、SNSで話題づくりをしようとしても、スルーされるか顧客の反発をまねいて炎上するのがオチです。ソーシャルメディア上では、企業として何を言うか?ではなく、参加者としてお客さまにどう共感していただくか?が重要なのです。
ソーシャルメディアの中で企業が参加者とつながって「仲間」として認められれば、自然に情報を受け取ってくれるようになり、メッセージが伝わり易くなります。さらに顧客と同じ目線に立って対話することによって、企業に対する理解を深め、結びつきを強めることも可能になります。
結びつきが強まった顧客(ファン)が、つながりのある友人へ情報をシェアすることによって注目されます。製品・サービスを使っていない人もファンになる可能性があるのです。これが新たなつながり(集客)を生むのです。ソーシャルメディアは顧客と信頼関係を築き、熱烈なファンを生みだすメディアと言えます。
企業ビジネス成果に結びつくソーシャルメディアの活用とは、1.顧客と良好な関係を保ち、2.信頼を獲得し、3.ファンを増やしていく、「独自のプロセス」を確立することです。これが将来における企業のブランド資産として競合他社に対する大きなアドバンテージとなるのです。