Web担当者のための一歩先行くWeb講座 第9回

効果的なSEOを実現するには?

ユーザーにとってサイトへの入り口は「検索エンジン」

サイトにアクセスする場合、いきなりURLを打つことはほとんどありません。なぜなら、いちいちURLを覚えていないからです。では、どうするか?あなたはYahoo!やGoogleに代表される「検索エンジン」でキーワード検索をするでしょう。すると検索結果として、Webサイトが一覧で表示されます。あなたは上から順番にクリックしていき、アクセスしたサイトのページを一瞥して、自分の欲しい「答え」があるか無いかを判断します。無さそうと感じれば、それ以上サイトの中身を見ようとはしません。このようにユーザーにとって、Webサイトの入口とはトップページではなく、検索エンジンなのです。

だから、検索結果のトップに自社サイトが掲載されることは、すべてのWeb担当者の願いです。その願いを叶えるのが、自社サイトを検索結果の上位に表示する「検索エンジン最適化(SEO)」なのです。

しかし、テクニックを強調した情報が先行したために、集客はSEOによって全て解決するように誤解されています。今や小手先のテクニックでは上位表示されないどころか、「ペナルティ」として検索エンジンの登録を外されてしまうこともあります。

SEOは本来「検索エンジンを意識してサイトを作る」ことで、きちんと手間隙を掛ければ、誰でも実践できることです。解決すべき問題はその後にあります。ユーザーは、検索結果トップの一つだけにアクセスするわけではありません。いくつかのサイトをピックアップして、最終的に一つに絞りこむのです。せっかく上位に表示されても、ユーザーに選ばれないのでは、いつになっても成果は上がらないのです。

分かりやすさが最優先

あなたがお店を選ぶ時、どんなキーワードに引かれるでしょうか。例えば、お昼にパスタが食べたいと思った時「イタリア仕込みのシェフのこだわりパスタ」と「ソースが選べる手打ちパスタミニ前菜付で1000円」どちらの看板のお店に入るでしょうか?

お客が店を選ぶとき一番知りたいのは「納得できる価格やサービス」であって「シェフの修行歴や素材へのこだわり云々」等の店のプライドではありません。Webサイトがユーザーから選ばれない最大の理由は、サイトの「伝えたいこと」ことと、ユーザーの「知りたいこと」にギャップがあるからです。専門家や売り手が感じる価値より、ユーザーにとってのメリットを優先して語らなければならなりません。

また、同じイタリアンでも、「会社の忘年会をするイタリアン居酒屋」「彼女の誕生日を祝うリストランテ」「パワフルランチにピッタリのパスタ屋」のように、ターゲットも「売り」もまったく異なります。

Webサイトは、あくまでも本業のビジネスを支援するものです。企業のビジネスによって、Webサイトで、狙うべきターゲットは自ずと決まります。Webサイトの魅力は、適切にターゲットを絞りこめるかどうかに掛かっているのです。誰からも好かれようとする「八方美人」サイトでは、結局、誰からも選ばれません。

ユーザーの目線で語る

ユーザーを呼びこむために大事なのは、結局コンテンツの中身なのです。「そんなことは当たり前、しっかり作りこんでいる」と言うのなら、もう一度、サイトに目を通して確認してみてください。本当にユーザーの目線でわかりやすいコンテンツになっているでしょうか?業界人しかわからないような、マニアックな「売り」ばかりを並べていないでしょうか?

検索エンジンでヒットした後のサイトが魅力的でなければ、せっかく集めたユーザーもすぐに去ってしまいます。SEOの小手先のテクニックではなく、ユーザーにとって魅力的なサイトを作ることが、結果として効果的なSEOを実現し、企業とユーザーがもっともハッピーな形で出会えるのです。