Web担当者のための一歩先行くWeb講座 第10回

リニューアルする前にやっておきたいこと

使い慣れていることも、サイトの魅力の一つ

「自社サイトのアクセスが伸び悩んでいる。きっと使い勝手が悪く、イメージが古くさいからだろう。だから、サイトをリニューアルしてデザインを一新したい。」というような依頼がよくあります。そこで、そのサイトをチェックすると、企業情報サイトとしては、一通りの情報があり、機能性も悪くない。見た目もまあまあ。果たしてこのサイトのデザインやページ構成をリニューアルすることで、アクセスが向上するのでしょうか。答えはノーです。

デザインによる機能性の向上とは、多くの情報を、ユーザーに理解しやすく順序立てて構成することによって、情報伝達をスムーズにする効果のことです。サイトが更新されても、いつも決まった場所にコンテンツがあるので、ユーザーは、すぐに目的の情報にアクセスできます。サイトに繰り返しアクセスして使い慣れてくると、何処に必要な情報があるのか、すぐにわかるようになります。

サイトに繰り返しアクセスするユーザーにとって、サイトが変わることは、とてもわずらわしいことです。リニューアルをしたら、前の方が良かったと言って、頻繁にアクセスしていたユーザーの足が遠のくことだってあります。使い慣れたデザインが変わってしまったために、サイトのどこに何があるかわからなくなってしまったり、検索エンジンの順位が下がって探しているページが見あたらなくなることもあります。

いつも一定で変わらないことも大事なのです。リニューアルをしたからユーザーが増えるわけではありません。コンテンツを追加して、欲しい情報が手に入るようになったからアクセスが増えるのです。大事なことは、言うまでも無くサイトの中身です。最新の情報が足りない、説明がわかりにくい、これはデザインを変えたからといって解決するわけではありません。

時間をかけて作りあげてきたサイトをリニューアルするのは、時間もお金もかかります。変えるのならば、それに見合った成果が求められるのは当然です。リニューアルによってサイトで確実に成果をあげるために、今あるWebサイトの中でやっておくことがあります。

リニューアルの前に、マイナーチェンジでテスト

あなたは、現在のサイトがどのように使われているか、きちんと把握しているでしょうか。サイトには一体どのくらいのユーザーがアクセスしているのか、Webサイトの中で、どのコンテンツがよく見られているのでしょうか。逆に、人気のないコンテンツはどれでしょうか。

Webサイトの現状把握をすると、次第に「ここが問題ではないか?」という仮説が浮かんできます。せっかく苦労して作ったコンテンツが、見てもらえないのは、ユーザーにコンテンツの内容が十分にアピールできていないからかもしれません。それとも、入口となるページのリンクが見つからないのかもしれません。

仮説ができたら、それを検証するために、Webサイトのマイナーチェンジをしてみるのです。例えば、そのコンテンツのリンク元ページで目につきやすい位置にリンクを移動したり、リンクにユーザーの興味をひきそうなキーワードを入れてみます。もっと新しいアイデアがあれば試してみるのも良いでしょう。

そしてその変更後、しばらくしてからアクセスに変化あったか、チェックするのです。もし、アクセスが増えたなら、他のコンテンツも同じような手法で、もっと効果を出すことができるかもしれません。あまり変わらないのならば、デザインだけでなく、きっとコンテンツの内容自体も見直す必要があるでしょう。

日々のサイト運営の中での小さな気づきや、アイディアをマイナーチェンジすることで形にし、どのようにアクセスが変化するかデータをとって、結果を検証します。サイトの現状把握、マイナーチェンジ、結果検証。この一連の流れを繰り返すことで、Webサイトの成果は着実にアップします。

Webサイトのアクセスが伸び悩む原因がわからなくては、リニューアルしても思ったような成果は出せません。日々のマイナーチェンジの積み重ねによって、確実に成果の出るリニューアルができるようになるのです。