Web担当者のための一歩先行くWeb講座 第23回

Webサイトを「ページビュー」だけで評価したらダメな理由

Webサイトの評価にページビュー(PV)は適切なのか?

Webサイトを評価するために「ページビュー(PV)」という指標が一般的に使われています。ページビューとは、サイトの中でHTMLページが何回表示されたか?という値です。「先月よりもページビューが10%増えた」「目標はページビューを昨年対比で20%増やす」といった使われ方をします。果たして、ページビューが多いことが、Webサイトの目的を達成したことの証明になるのでしょうか?

企業のWebサイトの目的の一つに、ユーザーに「自社の情報を伝えること」があります。その目的を達成するには、ユーザーにWebサイトを見てもらうことが一番需要。すなわち「ページビューが増えれば増えるほど良い」というロジックには疑問はないように思えます。

では、ページビューがあれば、必ず「情報を伝わっている」のでしょうか?言い換えるなら、Webサイトは「全てのページで情報を伝えている」と言えるでしょうか?

サイトの基本構造を、おさらいしてみましょう。ユーザーは、サイトのトップページや製品(カテゴリー)トップといった「一覧ページ」で情報のありかを探し、下層の「詳細情報ページ」で情報を取得します。サイトのページを大雑把に分けると、情報が掲載されている「詳細情報ページ」と、そこに誘導するための「一覧ページ」の2種類に分けられます。両者は、役割が違うので、同じ「ページビュー」でも意味が全く逆になってしまいます。

なぜなら、ユーザーは「詳細情報ページ」にたどり着いて、はじめて情報が得られます。沢山閲覧されれば「情報を伝えた」ことになるでしょう。しかし「一覧ページ」がどれだけ閲覧されたとしても、「情報を伝えた」ことにはなりません。むしろ「一覧ページ」の閲覧が多いのは、目的の情報に辿り着きづらく、ページを行き来してしまう「迷いやすいWebサイト」なのです。

このようなサイトでは、迷えば迷うほどPVが増えてしまうのです。これでは、サイトを正当に評価することはできません。

ページの役割に応じた指標で評価すれば改善点が見えてくる

企業のWebサイトにおいて、ユーザーに対して、どれだけ「情報を伝えること」ができたかを証明するには、すべてのページを平等に扱うのではなく、役割の異なる2種類のページを分けて評価する必要があります。

Webサイトでやるべきことは、訪れたユーザーに「一覧ページ」からスムーズに誘導し、「詳細情報ページ」まで辿り着かせることです。すなわち、「詳細情報ページ」のページビューを増やし、「一覧ページ」のページビューを減らすことが目標になるのです。そしてページビューを減らすだけではなく、「詳細情報ページ」にどれだけ誘導したかで評価すべきなのです。

トップページをはじめとした「一覧ページ」では、「詳細情報ページ」へのリンクの「クリック数」を測定します。ページビューに比べて、クリック数が少ない「一覧ページ」は、「詳細情報ページ」への誘導に問題がある。と判断することが出来ます。それが次に改善すべきポイントになるのです。

「一覧ページ」の直帰を減らす

例えば、一般的にサイトのWebサイトの「直帰」は、良くないと言われます。「直帰」は「サイトを閲覧しなかった」アクセスと解釈されるからです。

しかし、情報を伝える「詳細情報ページ」の直帰は、必ずしも問題とは言えません。リピーターが利用するニュースやキャンペーン情報などであれば、なおさら直帰率は高くなります。

問題なのはトップページを含めた「一覧ページ」の直帰です。一覧ページは詳細情報ページへの送客が役割ですから、直帰が多いということは、役割を達成できていないということになります。

直帰率が高い理由で、考えられるのは大きく2つです。
1.必要なページへのリンクが適切に貼られていない。
2.必要なページへのリンクにユーザーが気が付かない。

1は、トップを含む上位階層のページに当てはまることが多いです。必要な情報のある「詳細情報ページ」に至る前の「一覧ページ」にリンクを貼ってある場合です。サイトを熟知する担当者からすれば、一覧ページを通って階層を下りて行けば、情報に行きつくわけですから、きちんと案内していると考えます。

しかし、初めて訪れるユーザーにとっては、一覧ページのタイトルを見て、中にどのような情報が入っているか想像できるとは限りません。担当者は十分だと思っていても、カテゴリーの概要説明をテキストで入れるとか、下階層のリンクを一覧表示するとか、「情報がある」ことを認識させる工夫が必要です。

2は、情報を詰め込んだ一覧ページに当てはまります。「詳細情報ページ」の名称が並んでいたとしても、タイトルだけでは、やはり内容を想像できるとは限りません。例えば、「最新情報」といっても、新製品、キャンペーン、採用情報では、ユーザーも異なります。

タイトルに加え概要のテキストを表示するとか、内容を分かり易くするように分類のアイコンをつけるなども有効です。ユーザーの目的別に「製品をお探しの方」、「利用中の方」といった見出しをつけることで、内容にあたりをつけられるようになります。

探している情報が、サイトのどのあたりあるのか、把握できるようにすること、さらに情報を少しでも先出ししてクリックする前に要約レベルで提供すること。これが一覧ページの直帰率を減らす基本です。